この30年間、中京圏の鉄道に関してはJR利用が増えて名鉄利用が減ったイメージを持つ方が多いと思います。平成最初の10年はそうでしたがこの15年ではJR利用が増えて近鉄利用が減る傾向だと言えます。なぜこのようになったか記事にしてみました。
近鉄名古屋駅の乗車人員は30年前から1万5千人以上減っている 1991年の近鉄名古屋駅の乗車人員は8万いましたが現在は6万3千に減っています。名鉄名古屋駅は4分の3の利用が減りましたが近鉄も4分の3に近い数となりました。
他の交通手段に流れた? 一番あり得る話が他の交通手段に流れた話です。名古屋桑名間および名古屋四日市間では高速バスが走っています。このバスは確実に利用は伸びています。しかしバスの輸送量は小さいので、仮にこれらのバスがすべて満席でも1日3000人しか乗れません。このためバスに流れたとは考えにくいです。
関西線もありますが朝日以南の各駅の利用はほとんど増えていないので関西線に
名古屋から三重の需要がとられたとも言えません。
ありえるとすれば
名古屋からの三重の需要は自家用車に取られたことになります。そうでなければ名古屋から
三重の需要そのものが減ったことになります。
既に住宅地が高齢化したのか その昔三重県では名古屋へ通勤する人向けの住宅開発が進みました。特に昭和時代は名鉄沿線と近鉄沿線の競争で、名鉄系不動産と近鉄系不動産の勝負でした。そして昭和時代国鉄は不便だったので国鉄沿線は開発から取り残されていました。民営化後東海道線中央線が便利になると中央線沿線の開発も進んだようですがこのころに三重県でも湯の山線沿線、南が丘、桑名で名古屋への通勤者向けの住宅開発が行われました。しかし、この後名古屋への通勤者向けの開発は三重県では減ることになりました。
その分、住宅開発が急激に進んだのがJR沿線です。特に東海道線の刈谷などこれまで開発が進んでいなかったところが開発されるように。更に2010年代に入ると関西線(愛知県区間)の春田駅、蟹江駅、永和駅付近を中心に一気に開発されるようになりました。関西線は2015年までは夕方は2両運転だったのがいまでは4両で満員になり、6両運転の可能性が出てきました。10年程度で車両の長さが3倍になるほど需要は増えました。
それと変わるように三重県では名古屋への通勤客は減っていきました。最近こそ観光需要の伸びで近鉄名古屋線の利用は伸びていますが、特急を除くと減少方向だと言われています。理由としては昭和の頃あるいは平成初期から名古屋へ通っていた人は定年退職の時期を迎えますこれにともない利用客が減少していると考えられます。本来は
新たな住宅地ができるはずでしたが、この開発の需要は関西線(愛知県区間)沿線に持っていかれたことになります。なお、住宅開発から時間がたったので三重県から名古屋へ通う学生は増えています。
いっぽうで四日市市と鈴鹿市に大きな工場ができたため、その工場に勤める人向けの住宅地が増えているのも事実です。人口減少が抑えられているのはそのためでしょう。
三重から名古屋への需要は増える?減る? 名古屋の学生は愛知で仕事をする人が多いのも特徴的です。このため三重県出身の人は三重から通い続ける人も多くいますが通いが大変で引っ越す人もいます。今後三重から名古屋への需要は増えるか減るかは、今三重から名古屋に通っている大学生が就職後も三重から通い続けるか、勤務先近くに引っ越すかによって大きく変わります。
名古屋への利便性向上はマスト また新たな住宅開発が行われるかですが、現状では厳しいとみています。当分関西線沿線の開発が進みそうで、輸送量増強計画もあるほどです。ただ関西線が単線なので沿線開発はそのうち止まります。その時に再び近鉄沿線開発時代をつくれるかは近鉄と三重県次第です。
そして三重から名古屋に通う大学生に就職後も通い続けてもらうにも、新たな住宅開発を進めるには名古屋への利便性向上は必要です。本数の多さはよいのですが、全体的に所要時間がかかっているのが「三重から名古屋への移動が大変」というイメージが強くなってきたのかなと思います。そして支線沿線の各駅、および急行通過駅からの移動も大変です。支線と本線の接続が微妙との意見を聞いています。そして普通準急と急行の接続も蟹江、弥富、四日市、白子がメインです。そのため霞ケ浦~川原町、楠~千代崎の人にとっては長い時間普通にのることになるので時間がかかります。なお急行停車駅から名古屋への通勤は便利ですが、停車駅の四日市は開発されすぎで、これ以上住宅を建てる余地がなく、塩浜は工業地帯。それより先から名古屋へは時間がかかってしまいます。開発の候補は富田と伊勢若松に限られます。解決は厳しいですがこのままでは三重から名古屋への通勤需要は減り、名古屋のベッドタウンではなくなってしまいます。最も県内に工場がたっているので名古屋のベッドタウンではなくなっても困らないという見方もあるのかもしれません。
JR沿線は近鉄沿線から開発の流れを獲得した この仮説なら近鉄で名古屋に通勤する人が減り、JRで名古屋に通勤する人が増えたことは説明できます。沿線開発の構想で近鉄沿線に対しJR沿線が流れを取ることができました。特に関西線の利用客急増は驚く限りで念願の複線化ですら達成できる勢いです。名古屋の中でも先が明るい路線かもしれませんね。
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コメント
恐らく、東京メトロに次いで2位で阪神、京成と争う所です。
名古屋の東海道線は本数確保の為に、最低でも岡崎〜岐阜間は複々線化した方が良いと言えます。
そうすれば武豊線の普通電車の増発も楽になるし。
本題に戻してここ数十年で利用者が減った私鉄は近鉄の他に京阪、京王、相鉄の4社です。
京王は中央線や小田急、西武池袋線の高架複々線化と下北沢駅や渋谷駅の改悪によって利用者を減らしました。
調布以東はともかくそれ以西は多摩地区の高齢化と都内の通勤が辛い理由で小田急、中央線、西武池袋線に若い人が引っ越しているのが要因です。
相鉄は沿線の高齢化と小田急の利便性向上でやはり減らしているかと。
そして利用者減少が特に出たのは京阪沿線で中之島線の失敗が結果的に利用者減少を強くさせたのだと思います。
そして中之島線失敗と小田急下北沢駅地下化でモロ影響が出た京王と京阪は悪い部分でも似た状況が出たと言えます。
近鉄名古屋線を良くしたい場合は、関西本線の複線化が必要だと思います。
少なくとも河原田の分岐までは複線化を優先し、弥富、桑名、富田、四日市、南四日市は待避線設けるべきだと思います。
同時に伊勢鉄道はJR化して松阪駅までは複線電化するべきだと思います。
ちゃんとした競合路線を作らないと近鉄名古屋線に金が回らない気もします。
稲美弥彦
2020/03/27 URL 編集返信鉄道事業が苦しい近鉄に名古屋線にお金回せとは言えないでしょう。どうしても近鉄の利益を三重県が守りたいなら三重県が名古屋線の改良にお金を出すべきです。確かに名古屋線のライバルはいないですが、地元の学生や名古屋に勤めている人は名古屋に通うのが大変と言ってどんどんと名古屋に引っ越しています。
ホッシー
2020/03/28 URL 編集返信