新型肺炎で各鉄道会社が苦戦しています。特に新型肺炎が収まっても、2019年以前には戻れないという見方も強まってきました。たとえば出張需要などはWeb会議に置き換わり、関東関西ではこれまでのオフィス業務からWeb業務への変更も見受けられます。観光に関しても特にインバウンドはもとに戻らないと言われています。JR各社の経営陣も利用は戻らないという結論に至ったようですが、JR東海は独自路線を貫き、利用客が回復すると見込んでいます。
独自の経費削減策 もちろんJR東海も新型肺炎の影響は免れず、新幹線の利用と特急の利用率は大幅に下がり経営に打撃を与えました。2020年度と2021年度は1000億円以上の赤字または赤字見込みです。このためJR東海の社長も「経費削減に取り組む」と発言しています。経費削減と聞いたとき、廃線や減便をイメージした方も多いと思います。しかしながらJR東海の経費削減策もまた独自路線で技術開発による経費削減策です。
HC85系の各種試験は順調に進んでいますが、今年の始めにはバイオマス燃料を使った試運転を行う発表もありました。今年7月の運転開始からは従来のディーゼル燃料を使うそうですが、今後の実験結果次第でバイオエタノールに変更するかもしれません。上手くいけば燃料費の大幅削減ができそうです。このようにJR東海はこの2年間も積極的な技術開発を行い、経費削減に取り組んでいます。もちろんJR東日本はハイブリッド車開発、JR西日本は地方でのICカード拡大で省力化を進めていますが2020年度以降に積極的に新たな技術開発を進めていること、そして減便をせずに経費削減しているところがJR東海ならではです。
315系もN700系、N700S、HC85系と同じく量産車の営業運転開始後も試運転を行い、新技術開発を進めていき、安定したら実用化・既存車の改造という流れになるとみられます。既に自走用バッテリーが7月に後付けとなることが決まっているほか、車外カメラもつけるため、都市型ワンマンの試験もありそうです。
利用客増加の可能性 315系投入が決まった直後、まだ新型肺炎の影響を受ける前にも筆者はJR東海の
在来線について楽観視できる理由というタイトルで利用客増加の可能性を言及しました。この可能性は新型肺炎の影響がある今でも自分自身は利用客増加の可能性があると見込んでいます。
1つ目に315系投入効果です。中央線名古屋中津川間は315系に統一され、315系の加速度を活かした所要時間短縮が行われる可能性はこれまでも触れました。東海道線も313系と315系に統一されることによって、313系の性能に合わせたダイヤになるので、これで名古屋からJRで1時間で行ける範囲が広がります。残念ながら名古屋では名駅から鉄道で1時間で行ける距離が車で1時間で行ける距離よりも短くなっています。315系でJR名古屋1時間圏が増えることによって車から鉄道への移行があると考えています。静岡地区に関しては試算してないものの、313系と315系に統一すれば時速120キロ運転と加速度向上が可能になるので所要時間が短縮されるので、同じく車より鉄道の方が通勤時間、移動時間が短くなる事例が増えると考えられます。
2つ目に高齢者の免許返納、石油価格高騰、若者のクルマ離れといった時代背景から、車から鉄道への利用回帰も考えられます。JR東海ではこの10年で静岡地区の各駅を中心にバリアフリー化を進めていきましたので高齢者の利用回帰も進みつつあります。
東海地方では工業中心なので従来の通勤需要は新型肺炎に関わらず続きます。そして時代背景による鉄道回帰も新型肺炎に関わらず起こることでしょう。このように在来線にもまだ利用増加の可能性はあります。この記事は個人の推測にすぎません。しかし当のJR東海も315系の投入計画は予定通り進めています。このため新型肺炎前に立てた数十年の見通しを修正していないということだと言えます。
東海道新幹線の利益を活用し、バリアフリー化、技術開発、ローカル線維持、サービス改善を行い続けたJR東海。不測の事態で東海道新幹線の利益を在来線に活用できなくなった2年間ですが、これまでの投資の効果で、在来線は技術開発による経費削減と、利用客増加による売上増加を見込めるようです。こうして新幹線やリニアが上手くいかなくてもサービスを維持できる在来線が出来上がりました。新型肺炎はあるもののJR東海も在来線の未来は明るいと思います。
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